一章

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目覚めは最悪だった。 床には一面おつまみの袋、卓袱台の上には数十本の空き缶が富士山の様に積み上げられ、更にはベッドの中に不法侵入している2人の女性。 ……侵入だけならまだ許そう。 この時期に毛布にくるまって寝たいと誰しも思うだろう。 しかし、二人がかりで両手両足に下着姿で両サイドから挟み込むようにがっちりと抱きついているのはどういうことなんだと、何故服を着ていないのかと、この2人に問いたい。 「ホント勘弁してくれ……」 この2人が原因のため息は一体何度目なのだろうと思わざるを得ない。 とりあえず侵入者を起こさないように右腕を慎重に引き抜こうと試みる。 が、寸前で右腕に抱きつく力が強くなる。 暗転。頭の中の何かがこれ以上は危険だと警告している。というか既に危険だ。軽くレッドゾーン突入。 「祐くーん?何処に行くつもりなのかなー?まさか逃げるつもりなのかなー?美女2人が下着姿でベッドで寝てるというのに何もしないで出て行くのは男としてイケないなぁ…」 右側で寝ていた女性が耳元で艶めかしく囁いてくる。 そして追い討ちをかけるかの様に左側で寝ていた女性も起き出す。 「……昨日は楽しかったね、祐君」 拝啓神様 貴方はどこまで残酷なのですか
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