一章

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「ということが今朝あった。片方はともかく、もう片方はお前のとこの身内だろ。 頼むからあの人の手綱は握っててくれ。冗談抜きで体が保たない」 「無理。姉貴を止めようものならこの街が一瞬で消え去る。 お前1人の犠牲で何万人もの一般市民が安全に日常を過ごしているから我慢しろ。 それと2、3日出かけるから何かあったら姉貴に頼れ。あ、そろそろ飢えてる頃だったな」 「俺は生贄にも慰め物にもなりたかないぞ陸もどき」 いつもいつもふざけるなと罵倒を繰り返すが目の前の野郎には全く効果がない。言うなれば糠に釘。 ニヤニヤしているのが腹立たしいのでグサッと目潰しを食らわせる。 よし、悶えた。 「そういや呼び出した理由ってなんだ?」 「返事がない。まるで屍のようだ」 「次はどこをやられたい?鼻か、鼻だな、鼻フックからの投げっぱなし背負い投げだな、よしわかった遠慮なく屍になってこいホスト野郎」 「物騒なこと言うな童貞。 …っとそろそろ依頼人が来る時間だ。あぁ、知り合いだから固くなる必要はないぞ」 はて、こいつに依頼を持ちかけるような知り合いはいたっけか?と考えること10秒。 該当者が思い浮かばず思考を止める。 こいつに依頼するということは特殊な依頼ということに直結する。 一般人ではアレを相手にするなど到底不可能な、というか生きて帰ってこれない危険度Aの『殺し合い』 『アレ』との戦闘は小規模ながらも戦争そのものだ。 「むっちゃーん!来たでー!」 バンッと勢いよく扉が開く。 そこにいたのはよく知る人物だった。
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