一章

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頼る奴はいなくなり事務所の中にはアイアンクローをする女性、その被害を一身に受ける母親、呆然と見守る自分の3人が残った。 気まずい。非常に気まずい。 「あー……御影さん?とりあえず落ち着きましょう?」 笑顔を心がけ諭そうとしてみるが絶対顔がひきつってる。 ……ダメだ、心が折れそう。 「………………ょ」 御影桜が非常に小さい声で何か言っているのが微かに聞こえた。 はい?と疑問を投げかけもう一度言ってもらおうと促してみる。 「どうせまな板ですよ洗濯板ですよバスト80ですよ実際そんなのペタンコですよええもう何でも調理してやりますよ洗ってやりますよほら持ってきなさいよ鯉でも服でもやってやろうじゃないのあははははははははははははははははははははははは」 どうやらバカ母は御影桜の地雷を踏んでしまったようだ。 コンプレックスなのか、ここまで壊れるとは思っていなかったので次会うときは胸についての話は避けようと心に誓う。 余談だがその後30分間、自虐ネタは終わることなく、またその間も母親はアイアンクローをされ続けた。 母曰わく、 「万力やと思た……でもあれなら世界を取れるはずや!」 と訳の分からないことを言っていた。 ……世界って何のだ?
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