文学泥棒と学校一の落ちこぼれ

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「…今頃ですか。」 「うるせーよ。 こっちは展開早すぎて追いつけないんだよ。 悪かったな、バカで。」 「まあ、わからなくても仕方ないですね。 いいでしょう、簡単に説明しますね。」 そう言って泥棒は面倒くさそうに説明を始めた。 「一般的な本には二つの世界が存在しています。 一つは物語を書き始めてから書き終えるまでの『歴史』の世界。 これは本に限らずありとあらゆる物に共通する世界です。 これを盗むのが歴史怪盗と呼ばれる人々です。 そして、もう一つの世界はその本の内容、いわゆる『物語』の世界。 これを盗むのが私たち文学怪盗というわけです。 ちなみに、先ほど何故お嬢さんの本を狙うのかと尋ねてきましたが、『物語』の世界はその読み手によって輝きが増すんです。 つまり、思い出が深いものであればあるほど美しいという事です。 ご理解いただけましたか。」
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