文学泥棒と学校一の落ちこぼれ

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にこやかに微笑みながら条件を提示する男をみて一瞬背筋がぞわっとした。 (うわっ、これが悪魔と契約するときの微笑みというやつか?) 「で、俺はお前に何を渡せばいいんだ。」 俺は不安になりながら男にたずねた。 今の俺にはこの本以外に渡せる大切な物なんてない。 そんな俺に気づいたのか泥棒は、「それはあなたが戻ってくるまでに考えて置きますよ。 そんなことより、さあ 早く準備をしてください。 あなたには本の中に入ってもらはないといけないんですから。」と微笑みを崩さず言った。 「ちょっと待った。 何それ、どういう意味だよ。」 (まだ何の説明を受けていない俺にどうしろっていうんだよ。) 「面倒な人ですね… 時間がもったいないんで用意しながら聞いてください。 あなたにはこれから本の世界へと旅にでてもらいます。 そして、この状態になっている原因を解決していただきます。 準備物については、自分の知識を使って考えてください。 以上です。」 (説明少なっ!!) 俺はもっと説明してほしかったが男はそれ以上何も言わなさそうだったので、しぶしぶ準備に取りかかった。
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