文学泥棒と学校一の落ちこぼれ

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「そうですか、それは良かったです。 あなたに死んでもらっては困りますからね。」 泥棒は優しい声で言った。 「あっそうそう、困った時の為にこれを持って行ってください。 必ずあなたの助けになってくれるでしょう。」 はいっと、俺の手に黒い巾着を渡してきた。 中を見ても何も入っていない。 「なんだよこれ、何も入ってねぇーじゃん。」 俺は泥棒に怪しげに尋ねてみた。 「まあまあ、持っといてくださいよ。」 俺はしぶしぶポケットの中に巾着を入れる。 「それじゃあ良い旅を。」 泥棒がそう言った瞬間、目の前が真っ白になった。 『まずは物語の主人公を探してください。 後元の物語の記憶がある人を…』 何処からか聞こえる声は途中で途切れる。 そして、俺の目に色が戻ってきた時 俺は砂漠の真ん中に立っていた。
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