行き倒れとキャラバンの少女

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俺は平和な日常に別れを告げ、非日常なこの世界に足を踏み入れたんだが、 数時間足らずで瀕死の状態へと追い込まれていた。 まあ、俺自身が砂漠をなめていたのもあるが、ほとんどの原因は俺が非常食として持ってきた乾パンにある。 そう、あれは数時間前の出来事だった。 (数時間前) 「ふぅ、ここが本の中の世界か。」 俺は辺りを見渡してみた。 そこには広大な砂漠が広がっていた。 そう、ここは砂漠のド真ん中である。 立ち止まってても仕方がないので、近くに町があることを願いあてもなく歩き出した。 だけどどんなに歩いても町なんて見当たらない。 「ちくしょう、あの野郎なんで町の近くに飛ばさなかったんだよ。 帰ったら文句言ってやる。」 俺が密かに心に誓っていたとき、静寂な砂漠に俺のお腹の音が盛大に鳴り響いた。
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