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私がどうしようか迷っていると、意識が無いはずの子供はかすれる声で言った。
「し…に…たく…ないよ…か…あさ…ん…。」
(死にかけのそいつは私にまだ死にたくないと言ってきた… これは迷ってる暇はないね。)
「私はあんたの母親じゃないっての。 はぁ~しょうがないっか。
まったく、風のいたずらのせいでとんだひろいものをしちゃったな~。
この貸しは高くつくよ、お嬢ちゃん。」
と私はぼやきながら水を口に含み、少しずつ口移しでそいつに飲ませた。
(うわ~、やっぱり女ってわかってても恥ずかしい。
まわりに誰もいなくて良かった。)
私はそう思いながらそいつが全部水を飲み込んだのを確認すると、残りの水を頭からかけてやった。
(やっぱり起きないか… 面倒だけどしかたないか。)
私はそいつを背中に背負いながらもと来た道を歩き始めた。
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