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(ライラ目線)
「嫌だ!! 待って行かないでよ! お願いだから一人にしないで!!」
寝ているはずの少女が叫んだ。
私は驚き振り返るとそいつは眠りながら涙を流していた。
私が荷台に戻って来た時キャラバンの人々はとても驚いていたが、何も言わずただ背負っている少女を心配そうにこちらを見ていた。
私は毛布を少女に掛けてやると、夕食を食べようと側を離れようとした瞬間、引き留められたのだ。
(どうしよう、私もお腹すいたし、みんなにこいつの事説明しないといけないのに…
でも、泣いているやつをほっとけるほど器用じゃないんだよな…)
私がどうしようか困っていると、遅い私を心配したシエルがやってきた。
「どうしたのライラ、この子どこか具合悪いところでもあるの。」
「いや、もう大丈夫だと思うだけど離れようとすると泣きながら引き留められたんだよ。寝言で。」
「ライラはとても優しいもんね。ご飯は私が持ってきてあげるからこの子の側にいてあげて。」
シエルは優しい声で言った。
その言葉を聞いて少し体が強張る。
「…ごめんね、迷惑かけちゃって。
お言葉に甘えてしばらくここにいることにするよ。
みんなには明日の朝説明するからって言っといて。」
私は、平然を装ってシエルにそう伝えた。
「了解。じゃあ少し待っててね。」
私はシエルが荷台から降りていくのを確認すると、ホッと息を吐いた。
「しかたないからしばらくここに居てやるよ…。
おやすみ、良い夢を。」
そう言って少女の右手を握ってやると安心したのか、スヤスヤと幸せそうに寝た。
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