行き倒れとキャラバンの少女

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「ライラもね、まこと君みたいに砂漠の真ん中で行き倒れていたの。 初めてあった時は冷たい目をしていたわ。 どんなに話し掛けてもうんともすんとも言わなくて、名前すらわからなかった。 私は毎日ライラのところに行って話し掛けたわ。 で、いつまでもあなたって呼ぶのは嫌だったから私はライラにあだ名をつけようと思ったの。 前の晩から一生懸命考えて言ってみたの、これからあなたをこう呼ぶからって。 そしたらね、スッゴく嫌そうな顔をしたかと思うととても小さな声で『ライラ』って言ったの。 それからしばらくは相槌をうったりするだけだったけど、だんだん簡単な言葉を話してくれるようになったんだよ。 そんなある日、私は休憩中一人で砂漠を散歩していたら、人喰い蟻地獄の巣に落ちちゃって食べられそうになったの。 どんなに助けを呼んでも誰も気づいてくれない。 あの時はもう駄目だと思った。 私はここでこいつに食われて死ぬんだとね。 でも、私が死を覚悟した瞬間どこからかライラが長い剣を持ってやってきた。 そして、蟻地獄を斬りつけると、私に手を差し伸べてこう言ったの 『なんで途中であきらめたんだ。 死にたくないんだったら最後までもがいてでもこの穴を登ろうとしろよ。 おまえが死んだら悲しむ人間がいるんだから。』ってね。 それから私たちは友達になった。 でもライラはみんなに昔の事は絶対話しをしない。 何か隠していることはわかってるんだけどね。」 シエルさんはそう言うと俺の頭をなぜてきた。
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