文学泥棒と学校一の落ちこぼれ

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(おかしい、朝に家を出る時に窓は閉めたはずなのに。) 俺は息を殺しながらドアの隙間から部屋を覗いてみた。 全開になっている窓 風に揺れるカーテン そして、手に本を持ち満月を背にしてたたずむ男 俺には見知った部屋にいる知らないその人影を呆然と見ていることしか出来なかった。 (あの男何ものだ。俺の部屋で何してるんだよ。) いろんな考えが俺の頭の中を駆け巡る。 そして、警察に連絡を入れようと思いいたった瞬間、その男が手にした本を自分の鞄に入れようとした。 「…あっ!!」 気がつけば俺は、部屋へと飛び込み振り上げた木刀をその男の右手に向かって振り下していた。
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