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木刀は空しく虚空を切り裂きながら床にあたったが、驚いて本を離したのですかさずキャッチした。
「急に襲ってくるなんて卑怯じゃないですか。」
そいつはおどけるような口調で俺に言った。
「こそ泥に卑怯なんざ言われる筋合いはねぇよ。」
「こそ泥とは失礼な少年だ。
これでも私は文学怪盗と世間からは呼ばれているんですよ。」
文学怪盗と名乗る泥棒は自慢げに言った。
(嘘だ、絶対にただのバカな泥棒だな。)
「まあ、そんな事よりもその本を渡してくれないでしょうか少年よ。
私はそれが欲しくて欲しくてたまらないんですよ。」
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