文学泥棒と学校一の落ちこぼれ

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「なんで俺の本を狙うんだよ!? 他の奴のでもいいだろ。」 「それはもちろん… 気分ですけどなにか。」 俺はその答えを聞いてとても頭にきた。 「ふ、ふざけるな!!」 俺は木刀で泥棒を追い出そうとめちゃくちゃに振り回した。 「冗談じゃないですか、これだから本当にジョークが通じない人は困ってしまいます。」 そうおどけるように言いながら泥棒は軽く木刀を弾き飛ばした。 俺の手元にはあいつに対抗するための道具はなくなった。 (やばい、どうしよう。この本だけは…この本だけは盗られたくないのに。) この本は父さんが俺が生まれた時に記念にと買ってきてくれた物で、俺が幼い時に母さんがよく読んでくれた物だ。
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