文学泥棒と学校一の落ちこぼれ

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(これは俺達家族3人を繋ぐ大切な物なんだ、こんなふざけた奴に渡してたまるか。) 俺は本を両腕でしっかりと抱きしめ、後ろをとられないように壁に背中をあずけた。 泥棒はゆっくりとこちらに近づいてくる。 そして、泥棒が俺の目の前に来たとき、俺はそいつと目があった。 それまで逆光で見えなかった顔がお互いはっきりと見える。 途端に泥棒は俺の顔を見てにやついてきた。 「何気持ち悪い顔してんだよ。」 「いや~、あまりよく顔が見えなくて気づきませんでしたよ。」
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