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俺と聡美がまったりと読書を楽しんでいた休日の午後に来客があった。
それは俺の後輩の桜庭だった。
「どうぞ、上がって。
真ちゃん、桜庭さんだよ」
聡美の声が近付いてきて、本から顔を上げだ俺の視界に、リビングに入ってきた桜庭が映る。
「どうした? 珍しいな」
「いや………ちょっと」
聡美に勧められ、俺の向かいに座る桜庭の表情は暗かった。
聡美がキッチンに入り暫くすると、コーヒーの香りがしてきた。
「どうしたんだ? 元気が無いじゃないか。何かあったのか?」
休日前の会社での桜庭を思い出してみるが、特別変わった様子は無かったように思う。
「桜庭さん、今日は藍子とデートじゃなかったの?」
聡美が桜庭に声を掛けながら、テーブルの上にコーヒーの入ったカップを置いた。
「あ、そうだった。聡美ちゃん藍子と友達だったっけ……」
相変わらず暗い表情のままの桜庭を見て、彼女と何かあったのだろうという事は俺と聡美にも察しがついた。
「藍子と何かあったの?」
口を開いたのは聡美の方が先だった。
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