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俺の隣に座ってた聡美が急に立ち上がると、腰に手を当て桜庭を見下ろした。
そして大きく一つ深呼吸をした。
「ケツの穴の小さい男だなっ!」
聡美のデカい声に、俺も桜庭も聡美を見る。
「あれ? 真ちゃん、ケツじゃなくてタマ?」
自分の言葉が正しいのか、俺に確認しようとする聡美。
「聡美ちゃん?」
驚いて聡美を見つめる桜庭に気付き、また向き直り口を開く。
「あ、そうそう。何よ桜庭さん、藍子が不倫してたの聞いたら、好きなのかも判らなくなっちゃうんだ?
今まで半年以上付き合ってたのは、藍子が好きだったからでしょ?
アタシなんて真ちゃんがオッサンだって、バツイチだって好きだよ」
聡美に聞かれた桜庭は口を開く。
好きで付き合ってたし、この先には結婚があるだろうとも考えてた矢先に、彼女からの告白に戸惑っていると。
桜庭の気持ちも判らなくはない。
言わないでいてくれたらずっと知らなくて良かったものが、話された事で彼女の過去を知ってしまうと、ましてや不倫してた事を告白されたら、俺も考え込むだろう。
男はそういう生き物らしい。
俺はそう思う。
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