男ってやつは……

4/11
前へ
/89ページ
次へ
  俺の隣に座ってた聡美が急に立ち上がると、腰に手を当て桜庭を見下ろした。   そして大きく一つ深呼吸をした。      「ケツの穴の小さい男だなっ!」     聡美のデカい声に、俺も桜庭も聡美を見る。     「あれ? 真ちゃん、ケツじゃなくてタマ?」   自分の言葉が正しいのか、俺に確認しようとする聡美。      「聡美ちゃん?」   驚いて聡美を見つめる桜庭に気付き、また向き直り口を開く。      「あ、そうそう。何よ桜庭さん、藍子が不倫してたの聞いたら、好きなのかも判らなくなっちゃうんだ? 今まで半年以上付き合ってたのは、藍子が好きだったからでしょ? アタシなんて真ちゃんがオッサンだって、バツイチだって好きだよ」      聡美に聞かれた桜庭は口を開く。   好きで付き合ってたし、この先には結婚があるだろうとも考えてた矢先に、彼女からの告白に戸惑っていると。     桜庭の気持ちも判らなくはない。   言わないでいてくれたらずっと知らなくて良かったものが、話された事で彼女の過去を知ってしまうと、ましてや不倫してた事を告白されたら、俺も考え込むだろう。     男はそういう生き物らしい。   俺はそう思う。    
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2582人が本棚に入れています
本棚に追加