男ってやつは……

6/11
前へ
/89ページ
次へ
  「俺、帰ります。なんか100人より一度の不倫の方がマシな気がしてきたかも……」     桜庭が俺に憐れむような表情を見せてそう言ってきた。     「そうでしょ? 桜庭さん。真ちゃんより不幸な人なんかいないんだから……」   鼻を啜りながら聡美が言った。   俺はそれをボーッとしながら聞いていた。     「じゃ、お邪魔しました」   そう言って立ち上がる桜庭に右手を軽く挙げ応えた。     桜庭を玄関まで見送った聡美が、リビングに戻ってきた。   そしてソファで横になる俺の傍に来る。     「真ちゃん、やったねっ!」   満面の笑顔で、俺にそう言う聡美の意図が判らないでいる俺に話を続けた。     「100人なんてある訳無いでしょ。 でも桜庭さん信じちゃった。作戦大成功!  これで藍子の不倫なんてたいした事無いって思うよ」     (嘘なのか?)     「じゃ、本当の人数は?」   俺はつい聞いてしまった。   「25人くらい?」     (25……)   一般的にそれが多いのか少ないのか、俺にはその基準が判らない。   しかし、俺の中の基準でいけば多いと思った。  
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2582人が本棚に入れています
本棚に追加