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ベンチに腰掛けボーッと空を眺める。
果てしなく広がる空を眺めていると、誰にだってある過去に、こんなくだらない嫉妬をしてる自分が小さく見えた。
聡美には聡美の、俺には俺の人生の中で、互いにあって当たり前の過去。
今ふたりにあるのは共に歩んでいく未来じゃないのか?
冷静になれば判る事。
男って生き物は、なんて小さいんだ。
聡美に言わせりゃ、俺のケツの穴は桜庭よりも相当に小さいようだ。
「真ちゃん……」
声のする方に目をやると、泣きそうな顔をした聡美が立っていた。
「真ちゃん、ごめんね。焼きもちやきなの知ってたのに、ホントの事言っちゃった……」
おいで、と手を差し出すと、聡美は俺の傍に近寄ってきて、そして俺の目の前で立ち止まった。
「真ちゃん! ケツの穴小さ過ぎっ!」
一瞬面食らった俺は聡美の顔を見つめた。
ついでに言うと、公園内の遊具で遊んでいた小学生の子供数人も、聡美のデカい声に驚いてこちらを見ていた。
「これだけは信じて。アタシ、真ちゃんだけなんだ、キュンてしたの。
今まで誰にもした事無かった。
それにアタシを天国にイカせてくれたのも真ちゃんだけなの」
俺はベンチから立ち上がると聡美を抱きしめた。
子供達の冷やかしが聞こえる。
(ガキはあっちに行ってろ!)
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