男ってやつは……

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  翌日仕事に出ると、先に出社していた桜庭が俺のデスクにやって来た。     「工藤さん、昨日はゆっくり休んでたとこすみませんでした」   そう言ってきた桜庭に、喫煙室に行く事を言うと一緒についてきた。   桜庭は聡美の100人発言を信じたようで、俺に元気出して下さいと言ってきた。     「バーカ。俺があんな事で元気が無くなるわけないだろうが」   「気を失ったのに?」     煙草に火を付け、思い切り吸い込んだ煙を桜庭の顔に吹き掛けた。     「俺はそんな小せぇ男じゃねぇよ。言っておくがあれは気を失ったんじゃない、睡魔が突然襲ってきたんだ」   「ははっ、そうだったんですか」     笑いながら返してくる桜庭は、多分俺の言葉を信じてない事くらい判っている。     「で、お前の方はどうなんだ。藍子ちゃんと仕切り直しか?」   「いや、まだ……」   桜庭はまだ吹っ切れていないようだ。     「よく考えたら、単純に過去に彼氏がいたというだけのモノじゃ無いでしょう。道から外れた事をしてたって事じゃないですか……」   桜庭は煙草を灰皿で消すと溜め息をひとつついた。  
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