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「真ちゃん、どうしてアタシ達に子供が出来ないのさっ!」
トイレから出てきた聡美が言う。
どうやら今月も生理が来たようだ。
「どうしてって俺に聞かれても判らん」
休日の朝、新聞に目を落としながらそう答えると、目の前の聡美は膨れっ面で俺を見ていた。
「真ちゃん、大人になってからオタフク風邪に罹った? あれって大人が罹ると種が無くなるっていうじゃん」
「いや、子供の頃に罹ってる」
そう答えると、聡美は俺の隣に移動してきて顔を覗き込んできた。
「真ちゃん、もしかしてパイプカット?」
(はぁ?)
「だって、考えたらアタシ達結婚する前から使ってないのに、よく無事に出来ずにいたじゃん」
「つーか、外に出してただろ」
「外に出したって出来る時は出来る! 100%じゃないんだからさ」
聡美はそう言ったあと考えるように別の方向に目をやり、そしてまた俺を見た。
「歳のせい?」
「悪かったな年寄りで」
聡美は籍を入れた日から、子作りに励み出した。
あれから半年。
毎月生理が来る度に、こうやって俺に文句をたれる。
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