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この日の仕事が終わると俺は桜庭を誘って居酒屋へと行った。
「桜庭、まぁ俺も男だ。お前の気持ちも判らなくはない。
はっきり言おう」
昨日、聡美の100人発言で、本当は気を失うくらいショックだった事を話した。
「男って生き物は、小せぇんだよ……」
実際の数が25人というのはこの際伏せておいた。
25人でオタオタしたとこは桜庭に知られたく無かった。
今、俺の傍にいる聡美の身体を、何人の男が触ったのか考えただけでも腹が立つ。
その怒りは聡美では無く、見た事もない男に対して起こっている。
でも所詮過去の男達なのだ。
今、聡美の傍にいて、アイツと共に歩いていけるのは俺だけだと思うと、勝ち誇った気分になる。
『お前ら、残念だったな、聡美の過去に封印されてしまって。俺は未来に向かって聡美と歩いていくぞ!』
気分爽快だ!
「……で、俺はそこに辿り着いたんだ」
「工藤さんて、可愛いですね」
「まぁ、なんとでも言ってくれ。俺はアイツが好きなだけだ」
桜庭は笑い、グラスのビールを一口飲んで続けた。
「どうして藍子が自分の過去を俺に言ってきたのかが判らないんです」
「全部引っくるめて受け止めて欲しいからだろ?」
桜庭が俺を見た。
昨日の聡美の言葉を借りて俺は桜庭に言った。
一アタシ、真ちゃんに嘘なんかつきたくないもん。全部ひっくるめてアタシなの一
正直者の聡美らしい。
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