俺の心嫁知らず

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  あれから2週間が過ぎた土曜日。   桜庭と藍子ちゃんがやってきた。   ぶつかった壁は見事にふたりで崩したようだ。     数日前に彼女と電話で話して聡美はそれを知った。同じ日に俺は桜庭から聞いて復活を知っていた。   今日の土曜日に一緒に晩御飯を食べる事になり桜庭達が手土産に、旨いと評判の焼鳥を買ってやってきた。       「かんぱーい!」     ビールの注がれたグラスを持ち、それを一気に飲んだ。     「ぷはーっ! 旨い」   「ねぇ、これ全部聡美が作ったの?」   テーブルに並ぶ料理を見て彼女が言う。     「ううん、真ちゃん」   「あ、やっぱり?」   小皿に取り、それを口に運んだ彼女が美味しいと言ってくれた。     「でしょう? それ結構煮込んだもん」   「つーか、お前は見てただけだろ」   俺の隣でペロッと舌を出して聡美が、そうでしたと言った。   食事をしながらいつしか俺と桜庭は仕事の話になり、聡美と彼女は先月の陽子ちゃんの結婚式の話題で盛り上がっていた。     「聡美はホントに写真も撮らないの?」   「うん、撮らない」     ふたりの会話が耳に入った。  
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