俺の心嫁知らず

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  俺は土曜日になるのを楽しみにしていた。   聡美が説得され、ウエディングドレスを着る事になる。     そうなったら何処で写真を撮ってもらおうか。   あとから調べてみる事にするか。      「なんか工藤さん楽しそうですね」   桜庭が傍にやって来た。     またもや俺はニヤついてたか?   他の社員を見ると書類作りに真剣になっている者、電話をしている者、パソコンのキーボードを軽快に打ちまくっている者ばかりで、この俺に気付いたのは桜庭ひとりのようだ。     「お前、仕事しろよ」   「工藤さんもね」     (確かに……)     「藍子から聞きましたよ。聡美ちゃんを説得するんですってね」     そう聞かれ、俺は頷いた。そしてこの俺の計画は、彼女の説得力でもって成功が決まる事を話した。     「まぁ、藍子と聡美ちゃんは友達だから、どう押せば聡美ちゃんがOKするか、藍子には判ってるでしょうから心配ないでしょう」   「俺もそう思ってる」     俺は笑ってそう答えた。   余裕だった。     しかし、アイツは俺の夢を見事に打ち砕いてくれた。  
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