俺の心嫁知らず

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  「たっだいまぁ~」   元気な声がした次には、俺に纏わり付き、陽子ちゃん宅での事を楽しそうに報告する聡美。    まるで幼稚園児が、今日あった事を母親に話す姿そのものだった。   ただ、それを相手にしてるのは母親ではなく、悲しみのオーラを背負ったオッサンだが……。     「写真見せてもらったんだけどさ、陽子がすっごーく綺麗だったの。 あの子って和装も洋装もどっちも似合う顔立ちしてるんだよね」   「ふーん」   「でね、披露宴の時はさ白と黄色のドレスだったんだけど、前撮りの時には赤いドレスも着てんのっ!」     興奮して、まくし立てるように喋りまくる聡美を俺は見ていた。     「ん? どうしたの、真ゃん。あ、判った! お腹空いたんでしょ」   「…………」      俺の悲しみのオーラは、聡美の目には空腹からくるものに見えているようだ。     エプロンをしてキッチンに向かう聡美に声を掛けた。     「なぁ、お前はドレス着たいって思わないのか?」   「ん~」   聡美が少し考える様子を見せる。     (もしかしたら?)     「無い!」     俺はソファに倒れ込んだ。  
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