休日のサプライズ

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  「じゃ、行ってくるね。真ちゃんの好きなドラヤキ買って来るから、いい子にしてお留守番してんだよ」     (俺は子供かっ!)     仕度を終えた聡美が出掛けて行った。   大概はふたりで本を読んでいるか、聡美の買い出しに付き合い、大型ショッピングセンターまで足を延ばすかの休日だったから、こうして一人で過ごす時間は暫くぶりの事だった。     テーブルの上の本を手に取り、ソファに横になった途端携帯が鳴る。   それは聡美からのメールだった。   鍵を持って出るのを忘れたから、何処にも行かないで家にいて欲しいという内容だった。     (バカたれ)     あとからタバコを買いに行こうかと思っていたが、これで俺はいつ帰ってくるのか解らない聡美のために、家に拘束される事になってしまった。     再びソファに転がり本を開く。   ゆったりとした時間が流れる。       ピンポーン♪     来客を知らせるチャイムで俺は起き上がった。     全く、人がのんびり本を楽しんでるとこに誰だ?   新聞の勧誘だったら許さないぞ。     ドアを開けると、そこにはどう見ても新聞の勧誘に来たとは思えない人が立っていた。     「こんにちは、お休みのところドアを開けて下さりありがとうございます。貴方の幸せを祈らせて下さい」   目の前には見た事もない女性が、何やら冊子を手にして笑顔を向けていた。     
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