休日のサプライズ

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  「いや、結構です」   そう言ってドアを閉めようとすると、彼女はそのドアを押さえ、更に祈らせてくれと何度も言ってきた。     「お、俺は幸せだから結構だ! あんたが素直に帰ってくれた方がよっぽど今の俺にとって幸せなんだがっ!」     ドアをこれ以上開けられないようにしながら、強い口調で言ったのが効いたのか、彼女はドアから手を離し、その隙に俺はドアを閉めた。     なんだあれは? 得体の知れない宗教団体か?   幸せを祈らせてくれだって?    俺の時間を無駄にしやがって。     ソファに置きっぱなしになっていた本を持ち座ろうとした時、またもやチャイムが鳴った。     (まだいるのか?)     俺は静かに玄関に行くと、ドアスコープからそっと覗いた。   その俺の目に入ったのは先程の女性とは違う人だった。     (藍子ちゃん)     聡美と出掛けているはずの彼女が、ドアの前に立っている。     「藍子ちゃん、聡美と一緒のはずじゃ……?」   ドアを開け、そう言った俺に彼女は笑顔で答えた。     「工藤さん、私と一緒に今すぐ来て欲しいの」     俺の質問に全く答えてない。  
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