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「工藤さん、着いたわよ」
車を停めサイドブレーキをかけた彼女が、エンジンを切る。
駐車場に停めた車を降りると、また腕を掴かみ歩き出す彼女についていった。
ここは!
これって、もしかして。
その建物の自動ドアを抜け中に入ると、そこの制服を着た女性がフロアに立っていて俺達に笑顔を向けていた。
「いらっしゃいませ、工藤様。この度は【ブライダルサロン愛】をご利用頂きましてありがとうございます」
そう言って名刺を手にその女性が近付いてきた。
「私、本日工藤様の担当をさせて頂きます山根由利と申します」』
名刺を手渡された俺は、狐に摘まれたかのような状態で、その場に突っ立っていた。
「藍子ちゃん……、これって」
「あ、由利、聡美の方はどうなってる?」
「そうねぇ、あと30分で仕上がると思うわ」
誰も俺の声を聞いてない……。
「さぁ、工藤様もこちらへ」
担当と名乗る女性に促され歩く俺に、フロアから藍子ちゃんが手を振っていた。
「工藤さーん、頑張ってね~」
……って、何を頑張るんだよ。
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