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廊下を進む担当者が口を開いた。
「工藤様、ホントに何もご存知なかったんですね」
「今でもよく理解が出来ていないんだが」
「あとから判りますから、早く仕度してしまいましょう」
くすっと笑って彼女はそう言った。
連れて行かれた部屋には沢山の衣装があり、俺のサイズに合う物を選ばれ鏡の前であてていく。
「こういったのはいかがですか?」
そう聞かれても自分に似合っているのかよく判らず、担当してくれる彼女に任せた。
ヘアスタイルを担当する者の手により、俺はされるがままになっていた。
どうしてこんな事になったのかは判らないが、ただひとつ判った事は、俺はこれから新郎になるらしい。
俺の頭は混乱していた。
仕度の終わった俺は彼女に連れられ次の場所に向かう。
それはさっきいたフロアだった。
「工藤様、少々お待ち下さいね」
彼女は丁寧に俺にそう言うと腕時計に目をやった。
(聡美の仕度も終わったのか?)
落ち着かないでいる俺に声が掛かる。
「真ちゃん」
その声はフロアの先の大きな階段の方から聞こえ、目をやると階段を降りてくる聡美がいた。
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