休日のサプライズ

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  赤い絨毯の敷かれた階段を静かに降りてくる聡美は、真っ白なウエディングドレスを着ていた。     この建物に入った時に、そうじゃないかと判っていた。   だが、今目の前に現れた聡美を見て、夢を見ているような気がした。     休日の今日、ソファで転がって本を読んでいた俺は、そのままうたた寝をしてしまったんだ。     「真ちゃん?」     いや違う。これは夢じゃない。     「真ちゃん、驚いた?」   「あ、ああ」   「やった!」   悪戯っぽく笑い、聡美が続けた。     俺に相談された藍子ちゃんから説得された時に、今回のサプライズを思い付いた事。   藍子ちゃんの友達が働くこのブライダルサロンに予約を入れた事。    彼女とふたりで極秘にこの計画を進めていた事。    「真ちゃんがどうしても見たいって言うんだからさ、見せてあげなきゃ死んでも成仏出来ないでしょ?」     口は悪いが聡美のこの言葉は嬉しかった。     1か月前、聡美と彼女にまんまと俺は騙されていたんだ。   このふたりときたら、主演女優賞並みの演技だったと思うと笑いが込み上げてきた。     これでいつあの世に逝っても俺は成仏出来そうだ。    いや、まだ逝く気はないがな。      実に嬉しく、俺の忘れられないサプライズだ。  
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