2582人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
桜庭達に子供が出来た事は、今日のうちに聡美も知る事になるだろう。
きっと彼女からメールか電話がいく。
昨日陽子ちゃんからの妊娠報告を受け、今日は藍子ちゃんからその報告を受ける。
帰ったらまた聡美の《どうして攻撃》にあいそうだ。
俺は溜め息をひとつ落とした。
一時、自分が死んだ後の聡美の苦労を考えて、子供を作らないと思った俺だが、子供が嫌いな訳ではない。
幸せにしてやりたいと思う聡美に苦労はさせられない。
ただそれだけの理由だった。
こういうのは授かりものだからと思っていたが、もしかしたらホントに俺の種はどれも年寄りで、聡美を妊娠させる能力が無いのかもしれない。
しかし、俺は子供を生んで欲しくて聡美と結婚したわけじゃなく、聡美との二人の生活にプラス子供がいたら、それはそれでまた楽しいのだろうと思っている。
もし仮に子供がいなくても、聡美と二人でこの先生きていけたらそれでいいんだ。
それは聡美だって判っている事だろう。
俺達は俺達なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!