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「アタシ絶対子供欲しい。病院行って診てもらって来ようかな?」
「病院?」
俺のスーツを持ったまま聡美が頷いている。
「俺も?」
検査ってあれだろう、病院で出すんだよな。この歳でそんな事出来るかよ……。
俺は心の中で呟く。
「ううん、アタシ一人で行く。きっと……アタシに問題あるんだよ……。このままだったらいつまでも子供生まれて来ない」
「まだ半年だろ? いつか出来るって」
「もう半年なんてとっくに過ぎてるよ……いつかっていつ?」
「さぁ? これは神様じゃなきゃ判らんべ?」
「真ちゃん! ふざけないでよ。アタシ子供欲しいんだよ!」
「だから……」
「今欲しいんだよ!」
聡美のぶつけてきた言葉が俺を苛立たせ、思わず声を荒げて言ってしまった。
「今すぐ子供が欲しいなら誰かに種を貰って来い! 俺とじゃ相性が悪いんだろうよ」
(しまった!)
俺は言ってはいけない言葉を聡美にぶつけてしまった。
聡美が部屋を飛び出し玄関へと向かう。
「聡美!」
「いやっ!」
掴んだ俺の手は力一杯振り切られた。
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