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玄関に突っ立ったまま聡美が泣く。
「悪かった。言い過ぎた……」
俺だって子供を欲しがる聡美に生んでもらいたい。
でも実際には聡美が妊娠しないんだから、男としての能力が衰えてるのかと不安にもなる。
それを責められてる気がした。
違う。責めているのは聡美じゃない、俺自身じゃないのか?
「真ちゃん……、離婚しよう……」
「なっ!」
(なんでそうなるんだ!)
「原因は真ちゃんじゃないと思う。
きっとアタシに原因あるんだよ。
子供を生めないアタシは、真ちゃんを幸せに出来ない」
目にいっぱいの涙をためて、聡美は俺を見ていた。
「俺の幸せって何よ?」
俺は聡美に背を向けるとリビングに戻って行き、ソファに腰を下ろした。
俺の幸せはお前といる事だ……。
子供がいないと成立しないというもんじゃない。
違うのか?
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