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「真ちゃん……、アタシが子供が生めなくても幸せ?」
「ああ」
俺はそう返事をして聡美の頭を撫でる。
「ホントに?」
「ホントだ」
これは正直にそう思っている。
結婚したくないけど彼氏が欲しいと言って、俺に関わってきた聡美に、最初は戸惑ったが、今ではなくてはならない存在になっているのだから……。
「俺が年寄りだから種も元気なくてさ、聡美の腹に子供が出来ないのかもしれないぞ。
聡美から離れて行かなきゃならないのは俺の方かもしれない」
「ダメ!」
聡美は首を横に振り、そして言った。
「真ちゃんは傍にいるだけでいいの。
ただ、不安だった……。子供が出来ない原因がアタシにあるなら、真ちゃんの傍にいちゃいけないかなって思って……」
子供が出来る事でその安心も聡美は得たかったんだろう。
「俺もお前が傍にいるだけで幸せだ」
もう一度言葉に出した。
「もう一回言って……」
俺の胸に顔を埋めたまま聡美が言う。
「聡美がいるだけで俺は幸せだ」
聡美は静かに頷いたあと言った。
「アタシも真ちゃんが傍にいてくれるだけで幸せ」
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