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あの日から聡美はいつもと変わりのない毎日を過ごしていた。
何かがふっ切れたようなそんな明るささえある。
しかし、逆に俺が考えるようになってしまっていた。
相変わらず聡美の生理はやってきていたが、あれ以来は姿を見せなくなっていた。
自然に任せりゃいいなんて言っておきながら、実のところ原因は俺って事だって無くはない。
このままでいいのか?
子供を欲しがっていた聡美をこのまま俺の傍にいさせていいのか?
俺は良くても、それじゃぁ聡美があまりにも可哀想じゃないのか?
仲の良い友達が母になり、その友達と共通の話題も持てないのは辛くないか?
女に生まれて、自分の子供を生む事が出来ない。
俺のせいで……。
聡美を縛りつけていていいのか?
聡美は俺以外の男とやり直すにも十分な若さがある。
そんな事を考えるようになっていた。
「どうしたの? 真ちゃん難しい顔して。そろそろ買い物行こうよ」
「あ? ああ」
俺は立ち上がり車のキーを持って玄関に向かった。
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