夕日とベンチ

9/10

2582人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
  「言えよ。男らしくないなぁ。女の腐ったのみたいだよ。いいオッサンがグジグジとしちゃってさぁ。 若くないんだからグジグジ言ったって可愛くないよっ!」    「言い過ぎだろっ! 俺は真剣に考えてんだ!」     言い返すと聡美は立ち上がり、俺の目の前に立ち腰に手をあててこちらを見下ろした。     「アタシ達はアタシ達でしょ?」   「いいのか? ホントにそれでいいのか? 俺に原因があれば聡美は一生子供を生めないぞ。友達が母親になっていくのを見るのは辛くないか? だったら……」    「このオッサンは……」     そう言って聡美は溜め息をついた。     「シャキッとしろよっ! 一度決めたらグダグダ言わないっ! アタシ達はアタシ達っ! アタシは真ちゃんが好き。だからずっと一緒にいたい。 真ちゃんは?」   「…………」     俺は缶コーヒーを両手で包むように持ちながら考えていた。     「真ちゃんに原因あったとしても、アタシはいいよ。 なんてさ、アタシ達二人共に原因あるかもよ。 真ちゃん、あの時言ってくれたよね。 アタシが傍にいてくれるだけで幸せだって。 アタシもだよ。 真ちゃんがいつも傍にいてくれたら幸せ」    俺は聡美の顔を見た。  
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2582人が本棚に入れています
本棚に追加