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「俺は、聡美がいるだけで幸せだ……」
俺は缶コーヒーをベンチに置いて立ち上がり、聡美の前に立った。
「よし、よく言った。
いい? もう二度とグダグダ言わない事!」
「ぷっ」
「何?」
「いや……」
笑う俺を不思議そうな顔をして聡美が見ている。
この間、グダグダ言ってた聡美に喝を入れられるとは思わなかった。
それも15も年下の聡美に……。
俺よりも男らしいかもしれない。
【男らしい】が褒め言葉にならないと思った俺は その言葉は飲み込んだ。
しかし、聡美のそんなところに頼もしさを感じた。
同時に、俺はコイツがいないと駄目なんだと、改めて気付かされた。
「俺達は俺達だよな」
「そうだよ、真ちゃん」
またグダグダ言ったらゲンコツだから、と言って聡美は優しく笑った。
「おう、二度と言わないよ」
「ホントだね?」
「男に二言は無い」
俺の返事に、オッサン臭いと聡美が笑った。
ああ、俺はオッサンだよ。それがどうかしたか!
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