2582人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
あれから数か月が経つが、俺達は相変わらずふたりの生活を送っていた。
休日にはDVDをレンタルしてきて、映画鑑賞をしたり、本が好きなため読書の時間になったりと、ふたりの時間を満喫していた。
聡美の友達ふたりの腹も順調に大きくなり、陽子ちゃんに関してはもうすぐ出産を迎える。
「なんかさ、陽子のとこ、子供の名前で揉めてるみたい」
床に腹ばいになり、本をめくりながら聡美が言った。
「揉めてる?」
「うん、陽子はね、《さくら》って付けたいみたいなんだけど、旦那さんは《ももか》って付けたいってさ」
「つーか、生まれてくるのは女の子なのか?」
そう聞くと聡美は頷き、お腹にいるうちから性別を教えてもらえるようだと言った。
それで彼女は性別を聞き女の子と知り、名前をめぐりご主人と揉めているという。
「名前ねぇ。どっちも可愛くていいじゃないか。いっその事、二人目も女の子を生んで付ければ揉めなくて済むかもな」
聡美の返事がなくて、本から顔をあげると、腹ばいになったままの聡美は、その姿勢のまま天井を向き、そして笑い出した。
何か妄想しているらしい……。
最初のコメントを投稿しよう!