家出妊婦

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  あれから数か月が経つが、俺達は相変わらずふたりの生活を送っていた。     休日にはDVDをレンタルしてきて、映画鑑賞をしたり、本が好きなため読書の時間になったりと、ふたりの時間を満喫していた。      聡美の友達ふたりの腹も順調に大きくなり、陽子ちゃんに関してはもうすぐ出産を迎える。     「なんかさ、陽子のとこ、子供の名前で揉めてるみたい」   床に腹ばいになり、本をめくりながら聡美が言った。      「揉めてる?」   「うん、陽子はね、《さくら》って付けたいみたいなんだけど、旦那さんは《ももか》って付けたいってさ」   「つーか、生まれてくるのは女の子なのか?」     そう聞くと聡美は頷き、お腹にいるうちから性別を教えてもらえるようだと言った。   それで彼女は性別を聞き女の子と知り、名前をめぐりご主人と揉めているという。     「名前ねぇ。どっちも可愛くていいじゃないか。いっその事、二人目も女の子を生んで付ければ揉めなくて済むかもな」     聡美の返事がなくて、本から顔をあげると、腹ばいになったままの聡美は、その姿勢のまま天井を向き、そして笑い出した。     何か妄想しているらしい……。  
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