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「はいはいはーい!」
聡美が立ち上がり玄関に向かう。
「うおっ! どうした?」
「ちょっとね……」
一体誰が来たのかと思い玄関の方に目をやると、聡美と一緒にリビングに入ってきたのは陽子ちゃんだった。
「工藤さん……。せっかくの休みの日にごめんなさい」
そう言って頭を下げる彼女に、座るように勧めた。
「どっこらしょ」
そう言って俺の向かいの椅子に腰掛けた彼女の身体は、横綱級に大きくなっていた。
「陽子、何かあったの?」
聡美が彼女の隣に腰掛けそう聞くと、彼女は言った。
「頭に来たから家出してきた」
(家出?)
「そんな大きなお腹して大丈夫なのか?」
「そうだよ、陽子。あんまり身体に負担かけちゃダメだよ」
心配する俺達をよそに、彼女は聡美が入れたお茶を啜って小さく息を吐いた。
「大丈夫よ。体調はいたって良好だから」
そう言って彼女はまた小さく息を吐く。
頭に来たから……。
喧嘩か?
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