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「じゃ、真ちゃん、陽子を送ってくるから」
「工藤さん……、なんか邪魔しに来ちゃってごめんなさい」
玄関先で彼女は俺に頭を下げた。
「いや、構わないよ。また喧嘩したら来たらいい。俺じゃなんの解決策も見つけられないけど、聡美がいるからドンと来いさ」
笑って応える俺に、彼女はもう一度頭を下げ聡美と出て行った。
聡美と陽子ちゃん、藍子ちゃんの3人の関係は高校時代からだと聞いている。
きっと、どこかサッパリしていながら相手を想う気持ちの大きい聡美だからこそ、二人にはなくてはならない存在なのかもしれない。
今、そこに俺も加わってんだがな……。
テーブルの上の茶碗を片付け、キッチンから戻ると玄関のチャイムが鳴った。
玄関を開けた俺は驚いた。
目の前に藍子ちゃんが立っている。
(まさか、この妊婦も家出か?)
聡美が不在の中、俺で対応出来る話なのだろうか?
ドンと来られても困る。
「ど、どうした?」
「頂きモノなんだけど、沢山ありすぎて食べ切れなくてね、おすそ分けしに来たのよ」
そう言って差し出された袋を手渡され、ちょっとホッとした俺がいた。
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