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「真ちゃん起きて! 時間だよー」
毎朝聡美の声が俺の目覚ましになっていて、ベッドでゆっくり目を開ける。
聡美の姿は無いが、リビングの方でバタバタしているのが判った。
なんだ? 慌ただしいな。もしかしてアイツも寝坊したのか?
起き上がりリビングに行くと、すっかり朝食の準備も出来ていて、寝坊した様子は伺えなかった。
「何をそんなにバタバタしてんだ?」
洗面所とリビングを行ったり来たりしている聡美に声をかけると、立ち止まりテーブルの上に置かれていた携帯を手に傍に寄ってきた。
俺の目の前で携帯を開くとカチカチとボタンを押す。
そしてその携帯の画面を俺に見せた。
「陽子からメールが来たの。生まれたんだって!
夜中に陣痛がきて入院してさ、明け方生まれてんだよ!」
確かにその携帯の画面には、聡美が言ったのと同じ内容が写し出されていた。
同じ事を伝えるなら、別に携帯を開いて見せなくてもと思ったが、見せずにいられないくらい興奮しているんだと理解した。
「生まれたら連絡してねって言ってたんだ。でさ、明け方でしょ。起こしたら悪いと思ってメールにしたんだろうね」
そう言うと聡美は今度はキッチンへ行き、朝食の準備を始める。
俺は洗面所に行き顔を洗った。
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