こんにちは、赤ちゃん!

11/12

2582人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
  再び病院の駐車場に車を入れ、建物の中に入る。   内ポケットから保険証を出して、待合室にいる人達の中にいるであろう聡美の姿を探した。     いない。   まだ診察室なのか?     あたりを見回し姿を探す俺の視界に聡美が映る。   売店で買い物をしていた。     「聡美」     そう声をかけると振り向いた聡美は、手にパンとジュースを持っていた。     「真ちゃん。お腹空いちゃって買い物してた」     俺を見て聡美は言った。    「ど、どうだったんだ?」   そう聞くと、聡美が笑顔になった。     「子供……、出来てたのか?」   「うん。出来てた」     その言葉を聞いた俺は、さっきまで車の中で否定していたくせに、そんなものはどこかに吹っ飛ばしていた。     嬉しさを噛み締める俺に、ジュースを一口飲んだ聡美が続けた。     「真ちゃん、来年パパになるんだよ」   「ああ、聡美もママだな」   「うん。真ちゃん、家族が4人になるんだから頑張って働いてね」   「ああ。判って……、えっ? 4人って……」   「双子だよ、ふ・た・ご!」     (えぇー!!)     一気に2児の父親か!      「ま、まかせろ。老体に鞭打って頑張るさ」    俺の言葉に聡美が笑い、それにつられて俺も笑った。  
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2582人が本棚に入れています
本棚に追加