こんにちは、赤ちゃん!

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  「真ちゃん待ってて、陽子に知らせてくる。それと藍子にも」   そう言うと病棟に向かって走り出した。     「おい、こらっ。走ったら駄目だ!」     俺が声をかけると、大丈夫と返事をして聡美は消えていった。      いや、大丈夫とかじゃなくてさ、ここは病院だろ……。廊下は静かにって事なんだが。     聡美の後ろ姿を見て、嬉しかったんだろうなと思った。   あの時から聡美は何も言わなかったけど、本音は欲しかったんだよな。     俺も正直安心した。     俺の種にも能力があったってわけだ。   いや待て、聡美の方で年寄りだけど仕方ないかと、妥協したのかもしれない。   まぁ、それでもいいさ。    今頃、陽子ちゃんと手を取り合い喜んでいるんだろう。         「真ちゃん」   振り向くと聡美がいて、俺の手を掴むとまた病棟に向かう。     「なんだ?」   「陽子の赤ちゃんを真ちゃんも見てから帰ろう」     ああ、そうだ。彼女は今日生んだんだ。     病室に行くのかと思いきや、聡美が俺を連れていった場所は、沢山の赤ん坊が寝ている新生児室だった。   ガラスの向こうに同じ産着を着た赤ん坊が何人も小さなベッドで眠っていた。     (小さい……)     「真ちゃん、可愛いね。ほら、この子が陽子の赤ちゃん。百の花って書いてももかちゃん」   聡美が最前列で眠っている赤ん坊を指さし言った。      「その名前になったんだな。可愛いじゃないか」     そう言うと、アタシ達の子供もきっと可愛いだろうねと、聡美が笑顔を零した。     赤ん坊を見て零す笑顔は、いつも俺に向けるものとは少し違う気がした。     聡美は母親になったんだ。     そう思った。  
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