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仕事を終え自宅に帰った俺は、聡美に名付けの本を手渡した。
「やだ、真ちゃんたら気が早いんだから」
そう言って笑う聡美に、桜庭が貸してくれた事を言う。
「見て、候補の名前かな? ○印がついてる」
俺も聡美の開く本を覗いてみると、確かにいくつかの名前に印が付いていた。
これは多分桜庭が自分の子供に名前を付けるために印を付けたんだろう。
みさき、ななこ、ゆう、あや、こゆき……。
「真ちゃん、なんかさ……」
「ああ、女優にいないか?」
「桜庭さんの好きな女優さんが解ったね」
そんなのを知ったとこで何だ?って話だが……。
で、「彩」なんだ?
「ねぇ、藍子は生まれるまで性別は聞かないって言ってたんだけど、桜庭さんたら女の子の名前しか考えてなかったみたいだね」
聡美がそう言ったのは、その本には男の子の名前も出ているのに、そこには印も何も付いてなかったから。
「さぁ?」
俺はそう言って寝室に着替えに入った。
「名前は真ちゃんが付けてね」
後ろを付いてきた聡美が言う。
「ん? 聡美は一緒に考えないのか?」
「一緒に考えてもいいの? だったら男の子なら雅治とか聡、斗真もいいな……」
これも聞いた事ある名前だな。
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