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夕日を背中に受けながら歩く帰り道、聡美が口を開く。
「ねぇ真ちゃん、子供が男の子なら《桃太郎》と《金太郎》ってどう?」
「はぁ?」
「なんかいいでしょ?」
「…………」
「あ、女の子だったら《まな》と《かな》っていうのは?」
(それって……)
「名前は、俺が考えるよ」
「そう? じゃ真ちゃんに任せようかな。でも考えて煮詰まったら言ってね」
そう言う聡美に、一応頷いてみせた。
子供達よ……
心配すんな。
俺はちゃんとした名前を付けてやるからな。
お前達と手を繋ぐのを楽しみにしてるから……
元気に生まれて来いよ。
待ってるからな。
繋いだ聡美の手をもう一度ギュッと握った。
小さな手が幸せを掴むのを想像しながら……。
俺達の幸せもずっと続く事を確信しながら……。
…FIN…
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