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気がつけば僕は密室に閉じ込められていた。
四畳半くらいで、壁は真っ白だ。
後ろにドアがある。
……硬くロックされている。
そして足下には、カウントダウンされている爆弾があって、その横には脚立が置いてある。その脚立の真上の天井からは、輪っかのぶら下がったロープがある。
首吊り用か?
爆弾には当たり前のように赤い線と青い線が付いていて、さらにハサミが一緒に置かれている。
どちらかを切れというあれか。
あと、いつからかは知らないが僕は手に紙を握っていた。
読んでみる。
“1時間後にあなたの目の前の爆弾は爆発します。しかしロープを使えば、爆死せずにすみます。赤い線か青い線どちらかをハサミで切れば爆弾は爆発しません。ちなみに、首吊りは気持ちいいものですよ”
爆死か、絞首か。
あの輪に首を通せば爆死しない。
導線のどちらかを切れば、爆発しない。
死にたくない。
僕は震える手でハサミを拾った。
赤か?青か?二分の一だ。
カウントダウン、液晶に表示されてるのは…残り時間58分。
こんなに時間があるとはありがたいな。
僕は鼻で笑った。
僕は絶対死なない。こんなオモチャみたいな格好の爆弾だ。じっくり調べてみればどちらの線を切ればいいか簡単にわかるだろう。
僕は座って、爆弾の造りを観察することにした。
…重い。本物みたいだ。あらためて本物と実感してから手のひらに汗がどっと吹き出た。
指で導線をかきわけて細かいところを見てみた。
まさかの、黄色い線を見つけた。
赤と青とは明らかに違うところとつながっている。
そうか。
赤と青に目を向けさせといて正解は黄色です てか。
残り時間32分。
さて、選択肢は3つになってしまった。
赤 青 …黄色。
残り時間15分。
僕としたことが、こんなにためらうとは。
残り時間2分。
黄色だ、黄色。黄色い導線を切ればいいだけなんだ。
残り時間40秒。
爆発まで40秒。
死まで40秒。
僕は......
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