0人が本棚に入れています
本棚に追加
窓から射す朝日に照らされて、僕は目が覚めた。
窓の外に目をやると、綺麗な青い空から澄み渡っていた。
温かみのある太陽の光と、ピシッとはりつめた冬の冷たい空気が窓越しに伝わってくる。
「さむい。」
呟くように布団にくるまっている僕。
寒いから布団から出たくなかった。
まぁ冬だけではない。
春は心地いいから眠気に勝てず、夏は体がだるく感じゴロゴロしてしまい、秋は少し冷たい空気と布団の中の温度との調和がたまらなかった。
ひとことで言うなら僕は朝が弱い。
でも今日ばかりは遅刻はできない。
昨日アイロンをかけておいたYシャツと制服を着て、家をでる。
呑気に空を見上げ学校に向かう。
「おはよう。いよいよ今日だな。」
いつも仲良しの友達と校門で会った。
うなづきながらも僕は空を見ていた。
教室の窓側、一番後ろの席が僕の席。
座って眺める空は少しいつもと違って見えた。
チャイムが鳴り響き、静かな時がながれとうとうやってきた。
体育館はストーブで温められているが、ツンとくる寒さは変わっていない。
長い話を聞き流し、空をまた眺めている。
国歌、校歌、式歌を歌った。
「この広い大空に、夢を託して。」
合唱した今日で一番好きな歌、この式で一番涙をこぼす歌。
みんなが泣ける歌。
僕も知らず知らず涙を流していた。
教室に帰って、担任の話。
いつも見せないみんなの涙。
誰もがまだこのクラス、この学校にいたいと思う。
一人一人のありがとうや楽しかった話の別れの挨拶。
「まずこの学校とこのクラスにありがとうと言います。ありがとう。たくさん思い出作って、たくさん笑った。いつまでもこのクラスでいたいと思う。でも今日で卒業なんて寂しいです。今日でこのクラスは解散になっちゃうけど、この教室で肩を並べて勉強したこのクラスは記憶でのこりつづけます。この空はとても広く、大きい。この空の下みんな旅立つ。でもこの空がみんなの頭の上で繋がっていて、このクラスだった事も繋いでくれて、辛いときは思い出してください。素敵なクラスだった友達を、きっとまた頑張れると思います。この大空に夢を託して。それでは、またね。ありがとうございました。」
学校を出て見上げる空は、夢で溢れてる。
僕頑張るよ。
校門から学校と空を見て、
『ありがとう。さようなら。』呟いて、切なさに浸る帰り道。
最初のコメントを投稿しよう!