第一話

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暫くしてから、担任の先生が入って来た。 「起立」 「礼」 「着席」 委員長の号令が済んだ所で 「遅れてすみませんでした。今日は皆さんにお話ししておく事があります。」 そう言って、先生は教室内をぐるりと見回し 「転入生を紹介します。では、入りなさい」 ドアを開けて外に居た人を招き入れた。 その転入生の顔を見た瞬間に教室の男子は 「マジ可愛い~」 「やった!美人の転入生~!」 とか、色々好き勝手に黄色い声をあげる中で、俺は背筋に冷たい汗が流れた。 汗の正体が何なのか判る訳もなく、只、目を合わせないように顔を背けていた。 そんな間に転入生は教壇に辿り着いていて 「楢橋 美樹(ならはし みき)と言います。途中からですけど宜しくお願いします。」 と、言って軽く自己紹介をすると、付け加えるように 「楢橋君は、以前は日本に住んでましたが、家庭の都合でアメリカに居たそうなので色々あると思いますが、仲良くしてあげて下さいね。…っと、それから席は…」 蓮華の後ろの席が空いてるのに気がついて 「凪原君の席の後ろが空いてますね。調度名前の順になってますから、そこに座ってくれませんか?凪原君、手を挙げてくれませんか?」 「はぁ~ぃ( ̄∀ ̄)ノ」 楢橋は手を挙げてる美樹の通路を通らずに、わざわざ俺の筋から歩いて行き、俺とすれ違い様に 「………貴也の馬鹿…」 俺にしか聞き取れない声で小さく呟いて行った。 そして、指定された自分の席につくのだった。 俺は、その言葉に心臓が裂けんばかりに早くなり、目眩がするくらいに不安が俺の心を駆け巡っていった。
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