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暫くしてから、担任の先生が入って来た。
「起立」
「礼」
「着席」
委員長の号令が済んだ所で
「遅れてすみませんでした。今日は皆さんにお話ししておく事があります。」
そう言って、先生は教室内をぐるりと見回し
「転入生を紹介します。では、入りなさい」
ドアを開けて外に居た人を招き入れた。
その転入生の顔を見た瞬間に教室の男子は
「マジ可愛い~」
「やった!美人の転入生~!」
とか、色々好き勝手に黄色い声をあげる中で、俺は背筋に冷たい汗が流れた。
汗の正体が何なのか判る訳もなく、只、目を合わせないように顔を背けていた。
そんな間に転入生は教壇に辿り着いていて
「楢橋 美樹(ならはし みき)と言います。途中からですけど宜しくお願いします。」
と、言って軽く自己紹介をすると、付け加えるように
「楢橋君は、以前は日本に住んでましたが、家庭の都合でアメリカに居たそうなので色々あると思いますが、仲良くしてあげて下さいね。…っと、それから席は…」
蓮華の後ろの席が空いてるのに気がついて
「凪原君の席の後ろが空いてますね。調度名前の順になってますから、そこに座ってくれませんか?凪原君、手を挙げてくれませんか?」
「はぁ~ぃ( ̄∀ ̄)ノ」
楢橋は手を挙げてる美樹の通路を通らずに、わざわざ俺の筋から歩いて行き、俺とすれ違い様に
「………貴也の馬鹿…」
俺にしか聞き取れない声で小さく呟いて行った。
そして、指定された自分の席につくのだった。
俺は、その言葉に心臓が裂けんばかりに早くなり、目眩がするくらいに不安が俺の心を駆け巡っていった。
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