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怖がる少年の肩は大きく震えていた。
「なんてことを……」
少年の肩に自分の手をおくと、その手を背中にまわし擦るトキ。
今は何も聞かず、恐怖心だけでも払い去りたい。
トキは少年の様子を険しい表情で見詰めた。
「ごめんなさい」
ふと少年は微かに声を漏らす。
「……ごめんなさい」
か細いがトキは少年の声が聞き取れた。
「一体誰に?」
よく見ると少年は痣だらけだ。
顔や腕にひどく青い痣が見られる。
「……先輩」
まさかとは思った。
トキにはいじめがない学校を目指すためこの生徒会に入った。
理由は自分がいじめの対処になったことがあったからだ。
祖母の影響で始めた日舞。
髪は日舞をやるにあたって大切なものであったため、昔から伸ばしていた。
それもいじめの原因の一つで、最初は自分はひどく女子のような顔立ちだったためからだった。
トキには少年の何が原因でいじめになったかは分からない。
だが、いじめというものは原因があるとは限らない。
先に生まれたか後に生まれたかだけでいじめになってしまうこともある。
少年はどれだけ深い傷を負ったであろう。
トキは恐怖心がわいた。
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