髪飾りを貴方に……

19/28
前へ
/173ページ
次へ
 「二度目なんです。トキさんに会うのは……。憶えていますか?」 招待面だとばかり思っていた。 ふとトキは毎朝の稽古終了後を思い出す。 沢山の生徒がトキを囲む中、彼は一人木によじ登ってただ独りを見つめていた。  「えっと……」  「ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい。やっぱり言うんじゃなかった……僕は"影"なんだ」  何かを怖がるようにカラスは時から離れ、部屋から出ていってしまった。  ──なんだろう……この違和感は。  胸のどこかで何かが突っかかっているようで、トキは胸苦しさを覚えた。 .
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加