髪飾りを貴方に……

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 「……キ。……トキ。おい、トキ起きろ」  ぼやけた視界に映るクジャクの顔。 めずらしく眼鏡をかけている。  「彼はたしか……」  「いつまで寝ぼけてるんだ?仕事しろ、仕事」  軽く額を叩かれ、トキはハッと起き上がる。 生徒会室のソファーにトキは寝ていた。  「夢ですか」  「どうした、ばあさんが生き返る夢でもみたか」  「いえ、なんだか懐かしくてそれでいて心臓が高鳴る夢です」  「高鳴る?初恋か」  笑い混じりにクジャクは尋ねてくる。  「ですね……。カラスという当時小等部の」  頭に電気が走った。 そして、棚にある中等部生徒名簿のファイルを開き読むとファイルを机に置いたまま部屋から出ていった。  「おい、トキ!……って聞こえるわけもないか」  ズレ落ちた眼鏡を上げ、クジャクは目を通していた資料に印を押す。  「うまくいくといいな」  ささやかな言葉は友へのはなむけ。 .
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